【SS】「三種の神器」の受難⑦ ~平家物語より・後編~

壇ノ浦の戦い
彦島
宗盛>「九州には源範頼が布陣してて、正面からは源義経か…。完全に詰んだわ」
安徳(満6歳)>「ねえ、みんなが平家危ないって言ってるよ。大丈夫?」
宗盛>(やばい、もう大きくなってきたからわかるのかもな)「帝、ご心配には及びません」
安徳>「そう? ならいいけど」

開戦直前の源氏
梶原景時>「先陣行かせてください!」
義経>「何言ってんの。俺が行くに決まってんじゃん」
景時>「大将自ら先陣とかありえないですって」
義経>「うるさい。斬るぞ。俺はもう行く」スイー
景時>「もう漕ぎ出してった。あとで鎌倉殿に文書いてやる」イライラ
→義経粛清の一因?

平家軍>「源氏が攻めてきました!」
知盛(宗盛の弟)>「出陣だ!」オオーッ

しかし正面からは源義経、背後からは九州に陣取っている範頼に矢を射掛けられ、次第に劣勢に。

源氏軍>「あの立派な唐船に安徳帝が乗っているに違いない。どんどん矢を放て!」
源氏軍>「安徳殺せ! 安徳殺せ!」

知盛>「もはや勝敗は決したな。帝を別の船にお乗せしておいてよかった」

知盛>「帝、ご無事ですか」
安徳>「大事ないよ! それより外からすっごいの聞こえてるね」
知盛>「申し訳ありません。間もなくこの船にもあの野蛮な東男どもがやって来るでしょう」
二位尼(清盛の正妻、安徳の祖母)>「それではもう…」
徳子(安徳の母)>。・゚・(ノД`)・゚・。シクシクシクシク
安徳>「僕たちどうなるの?」
二位尼>「帝、ご存知ですか、この浪の下にも都があるのですよ」
安徳>「え?」
二位尼>「極楽浄土という都です。今からこの尼が連れていって差し上げます」
安徳>(この真っ暗な海の下に都? 尼ぜ何言ってんの?)
二位尼>「あの憎き源氏どもにこの三種の神器を渡してなるものか。剣と勾玉は帝とともに私が持っていく。鏡も忘れぬよう」
女官>「かしこまりましてございます」
二位尼>「それでは帝、行きましょう」
安徳>「え? これって、死ぬよね?」
二位尼>ガシッ(安徳天皇を抱きかかえる)
安徳>「あっ…」ザッパーン
徳子>「私もすぐに参ります」ザパーン
女官>「鏡持った」ザパーン

源氏軍>「おい、女たちがどんどん身投げしてる」
源氏軍>「着物が海に浮かんで、なんか綺麗だな」
源氏軍>「ああ」

宗盛>「これまでか…」ザパーン
→しかし死ぬのが怖くなり泳いでいたところを源氏軍に捕まり、鎌倉にて討首。

知盛>「見るべきものは全て見た。二度と浮かばぬように鎧をもう一揃い着よう」ザバーン

義経>「三種の神器と一緒に身投げ!? 何考えてんだ。安徳は生きててもらっても困る、神器だけ探せ!」
義経>「女が持っているはずだ、女を引き上げろ」

源氏軍>「この女、綺麗な着物を着ている。身分のある平家の女かもしれない」
源氏軍>「おい、生きてるか?」
徳子>「私に気安く触れるな…」ゴホゴホ
源氏軍>「助けてやったのに何なんだよ。名前は?」
徳子>「我が名は建礼門院」
源氏軍>「先帝の国母だ! 丁重に扱え!」
源氏軍>「でも神器は持ってないんだな」

源氏軍>「勾玉と鏡の入った箱と思われる物は見つかりました。中が軽いんでぷかぷか浮いてました」
義経>「よし、あとは剣だ」

しかし剣だけはいくら探しても見つからず結局義経も捜索を諦めている。二位尼の執念というべきか。
そしてこのあと剣に関しては伊勢の神宮から新たに選ばれ三種の神器に定められた。これが形代であるという説も本物であるという説もあるようだがやはり見ることができないので真実はわからない。
ただどこにも記述を見つけられなかったが「なぜ源氏は見たこともない勾玉と鏡を箱だけで三種の神器だとわかったのか」という謎が残る。こういう布に包まれてこれくらいの大きさの箱、と詳細を聞いていただけかもしれないが、それだと女たちがたくさん身投げしていたので生活道具の箱なども海に浮いていた可能性がある。もともと貴族のような生活をしていたのだからそれらとてきらびやかな箱だったかもしれない。そこから神器の箱をどうやって特定したのか。実は中身を確認してはいないのか。
また海水で濡れてしまった箱をそのまま使うとは考えにくいので開けて交換しているだろうし本体は布で包まれているとすればそれも錆びる原因になってしまうだろうから交換していると思う。もし歴史上で神器の中身を確認した人間がいるとするならこの時代に存在する可能性が高い。後白河法皇怪しすぎる。

またこのあと頼朝が征夷大将軍となり戦の功労者である義経や範頼すら粛清されるのだが頼朝の血筋も孫が叔父に当たる息子を殺すという狂った凶行もあり数十年後にすべて滅びる。長女の大姫は木曾義仲の嫡男との縁談が持ち上がるがその嫡男・義高の死により気が狂ったとも病に伏したとも伝えられ、若くして亡くなった。これが天下を取った血筋の末路だ。
「呪い」というものが本当にあるとするならまさに呪われていたのだろう。平家に、あるいは同じ源氏に。
平家もそれを滅ぼした源氏もいなくなった。源平の合戦とは何だったのだろう。
まさに「盛者必衰」だ。

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