黄泉につながる場所 花の窟神社①

和歌山方面に行ってきたのでしばらくは旅行編。
まずは三重県熊野市にある花の窟(はなのいわや)神社から。
しかし熊野三山は全て和歌山県に位置しているのになんで熊野市は三重県にあるのに熊野の名前がついたのだろう。以前の市町村合併でできたみたいだがここも昔は紀伊国の一部だったということだろうか。

花の窟神社
創建された年代は不明。ただ日本書紀にも記述が見られることからかなり古いことは間違いない。それはつまり気づいたらそこにあったものであり、人が文字で歴史を記す前から存在していたということなのだろうか。
祭神はイザナミノミコトとカグツチノミコト。
記紀にも出てくる有名なもう一柱の神であるイザナギはここには祀られていない。
そして伊勢神宮の御神体は鏡だけどそういう人工物の御神体はなく、そびえ立つ岩そのものが御神体とされている。まさに原始信仰な感じがした。
こちらがイザナミノミコト

イザナミは言うまでもなく国作り神話に出てくるイザナギとイザナミの女性の方である。
そしてカグツチはそのイザナミの産んだ神々の一柱だ。
こちらがカグツチノミコト
イザナミとは向かい合うような位置に祀られている

皮肉なのはイザナミが死んでしまう原因となったのがこのカグツチを産んだためということだ。ここではその二柱の神が同じ場所に祀られている。

神話の中のイザナミとカグツチ
イザナギとイザナミが国産みを終えたあと神産みが始まる。カグツチもその中でイザナミより産まれるが火の神であったため、産まれてくる際にイザナミがその火に焼かれて死んでしまう。それを見たイザナギは怒り狂い十拳剣(トツカノツルギ)でカグツチを殺してしまった。
母親が死にものぐるいで産んだ子を父親が殺してしまうとは神様の考えることはやはり凡人には理解が及ばないがきっとイザナギは我を忘れていたのだろう。
そしてその殺されときに流れた血からもさらに神々が産まれたというのだからこれこそ究極のリサイクルである。
その後イザナギはイザナミを迎えに黄泉の国へ行く。
迎えに行けるのなら別にカグツチを殺さなくていいんじゃないかとかもし本当に蘇ることができるならイザナミは自分の産んだ子が殺されてることを知ってなんて思うんだろうとかいろいろ謎ではある。
その黄泉の国へ通じる黄泉比良坂(よもつひらさか)が一説にはここ花の窟にあるとも言われている。
神社は穢れを最も嫌う神聖な場所だと思っていたがここでは死と隣り合わせだった。
それが本来の姿なのかもしれない。

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