選挙と選挙速報を考える

統一地方選の前半戦が終わった。
今回も順調に投票率は低く推移しているようだ。
確かに誰か一人が選挙に行かなかったからと言って大勢が変わることはない。政治に無関心な人たちはみんなそう考えているだろう。
それにしても地方議会議員選挙に至っては地域によっては投票率が20%台の所すらある。たったそれだけの民意によって決めてしまっていいのか傍から見ていても不安になってしまうほどだ。
でも本当に投票率が低い理由はそれだけだろうか。

選挙速報 速すぎ問題
これは前から思っていたことだが投票所が閉まる午後8時を回るといきなりテレビに当確情報が出てくる。開票率はもちろん0%であるのに、だ。
もちろん各局綿密な出口調査などを行った上で慎重に議論を重ねて出しているのはわかる。
でもいつも思ってしまう。
「わたしの入れた1票って意味なくない?」
今まで一度も出口調査なんてされたことないしもちろん電話などでの取材も受けたことがない。大多数の人はそうだろう。それでもわたしの入れた1票を含んでいるばずの結果を彼らは最初から知っているのだ。
全く開票せずに結果がわかるならもう選挙なんてやるだけ税金の無駄だから、すぐ当確が出せるような圧倒的多数のときくらいは各メディアに選挙管理委員会が逆取材して当選者を決めてもいいのではないかなどと思ってしまう。
当確が出るということは統計学的にはそれでほぼ正しい結果が得られるとわかってのことなのだろうが「貴重な1票」と言っているメディアが逆に1票の価値を落としてしまった気がしてならない。
もちろん速報を他局より先に出すことで数字が取れるからそれが重要なのはわかる。でもそれ以上に大事なのは人々の政治への関心であるべきだ。
総務省 国政選挙における投票率の推移より
こちらの表は参院選の過去の投票率の推移を示している。画像が粗くなってしまったのでリンク元で確認してもらわないといけないかもしれないが、時期によって投票率は変わっているものの平成元年まではそれなりの値で推移している。だが次の平成4年の選挙以降、平均値が明らかに下がっているのは一目瞭然だと思う。
某テレビ局が初めて出口調査の結果を選挙速報に使ったのがこの投票率が高かった最後の年、平成元年だったそうだ。
ここで多くの人が自分の1票が大して貴重でも重くもないと気づいてしまった、とも考えられる。
これはあくまでわたしの適当な思いつきではあるが、このことが後の選挙行動に影響したということもあるのかもしれないと思わせるのに十分な結果だと思う。

確かに政治に無関心な人が増えたとかそういう事情もあるだろう。
でもテレビはこの情報化社会とはいえ、「1票の軽さ」という見なくていいものまで見せてしまったのではないか。そんな気がしてならない。

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